いろいろなところを意識してみる

今日のクラスのときに、たまたま自分の昔の体験を思い出した。それは数年前のフェルデンクライスのトレーニング中のことで、両脚を立てて、膝を左右に倒すというシンプルな動きをしたときがあった。
私は左膝の靭帯損傷をして大学生のときに靭帯形成術をしているので、左膝を内側に倒すという動きは、反射的に制限がかかっていた。膝を内側に倒すと考えただけで、呼吸が止まり、こわばる感じだった。内側に倒したからといって、痛みがあるわけではない。けれども、左膝を内側に動かそうとすると、「その動きはしたくないのスイッチ」が勝手にオンになる経路ができあがっている感じだった。
そんな状態なので、その動きは最初は楽にできる感じではなかった。
そのレッスンはATM(グループレッスン)とFI(個人レッスン)を兼ねていて、自分でやった後で、パートナーと組んだ。FI練習では先生役の人が、生徒役の人(動いている人)の膝を触ったり、骨盤を触ったり、肋骨を触ったりした。たまたま、私が生徒役のときに、そのときのデモンストレーションに使われた。
そうすると、膝を触られている時と、骨盤や肋骨を触られている時で、私の膝を倒す動きが変わる。人に触られることによる影響は大きい。トレーナーに相手に触られているところを感じなさいというようなことを言われる。膝だけに自分の意識がある限り、私の恐怖は消えないけど、骨盤や肋骨に意識を向け、自分の動きを観察し、左右の違いを感じているうちに、膝を倒す動きに変化が出てくる。膝に意識を置かないことで、怖さがなくなり、動きは楽になっている。
これは脳をだましていることでもあると思う。私の「膝を内側に倒すと怖いですルート」を使わずに、膝を内側に倒す動きを導く。違うルートを見つけることで、自動的に恐怖を感じるパターンを回避できる。
動きが楽になると、今度は膝を内側に倒す動きは恐怖に感じる必要はないということを私の神経系が了解するんだろう。「膝を内側に倒すと怖いですルート」は少しずつ弱められていくようだ。私は今は左膝を内側に倒す動きには特に抵抗はないし、怖さも前ほどは強くない。
フェルデンクライスのレッスンでは、いろいろな場所を動かす。一番大きく動く場所にだけ集中していないで、からだの他の部分に意識を向けてみると、動きが変わることは多い。思いがけないところが動きの制限をしている場合も多く、そんなことに気づかせてくれるフェルデンクライスはやっぱり面白いなあと感じるのだ。

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