からだレッスンmove書店の新着本 「奇跡の脳」

この本に興味をもったきっかけは、「復活した”脳の力”~テイラー博士からのメッセージ~」 というタイトルで今年の5月にNHKで放映された番組を見たからです。図書館で予約をして、ずいぶん待って、やっと回ってきました。神経解剖学者であるテイラー博士が脳卒中になり、脳卒中から回復する過程が綴られています。
なんと、この本の中に「フェルデンクライス」という言葉が2ヶ所出てきます。手術による下顎関節の不具合があるときにフェルデンクライスのレッスンを受け、すぐに良くなったと書かれています。本の中では治療法と書いてありますが、英語の原文にはどう書いてあるのかわからないです(フェルデンクライスは基本的には治療法ではありません)。テイラー博士はおそらく個人レッスンを受けられたのだと思います。
「フェルデンクライス」という言葉は2ヶ所もあるのですが、実際にレッスンについて語られているわけではありません。ただ、テイラー博士が脳卒中から回復する過程そのものが、フェルデンクライスでいうところの学習:赤ちゃんのように学ぶ過程そのものに感じられました。脳卒中の後であらゆる面でサポートを行ったテイラー博士の母親のGGがすごいとも言えますが、テイラー博士は安心できる環境の中で、時間を十分にかけて赤ちゃんのように学び直すことで回復への道をたどれたのだと思います。
本を読み終わり、書かれていることがいちいちフェルデンクライスに関係しているように感じました。例えば以下のような記述もそんな一部です。
「結局のところ、わたしたちが体験するものはすべて、わたしたちの細胞とそれらがつくる回路の産物です。ひとたび、いろいろな回路が、からだの内側でどんなふうに感じられるかに耳を澄ませば、あなたは世界の中でどうありたいかを選ぶことができます。・・・」(P212 )
「美しい細胞のひとつひとつ。ひとつひとつの神経回路。まさに驚くべき小さな部品が織り上げられて、「心」のネットワークをつくりだす。わたしが脳の中で体験する意識は、そうやって確立された集合的な「気づき」にほかなりません。神経の可塑性のおかげで、つまり、他の細胞とのつながり方を変える能力のおかげで、弾力的に考え、環境に適応し、世界の中でどう生きるかを選びながら、あなたとわたしは、地球上を歩くのです。幸いなことに、今日、どんな自分になるのかは、昨日、どんな自分だったかで決まるわけでありません。・・・」(P215)
「奇跡の脳」ジル・ボルト・テイラー著 竹内薫訳 新潮社刊より引用
フェルデンクライスのレッスンは動きのレッスンですが、モーシェ・フェルデンクライス博士は「私達はなりたい自分になることができる。」ということを言っています。そのためには感受性を高め、自分が何をしているのかを知る必要があるということです。(ちょっと簡単にまとめちゃいましたが)
テイラー博士の脳卒中からの旅路は、まさにそのものだったように感じます。フェルデンクライスと関係なくても、多くの方にオススメしたい本です。とってもパワフルな本だと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA