フェルデンクライスメソッドの創始者、
モーシェ・フェルデンクライス博士のレッスン集を見ていると、
“waste your time!”とか、たまにモーシェが言っている。
(waste:浪費する、無駄にする)
赤ちゃんや子供のときは、
時間の感覚も無いままに、
長い長い時を過ごし、
数えれないほど失敗をして学習を進め、
一つ一つできることを増やしてきた。
けれども、大人になるにつれて、
時間を無駄にするなと言われ、
間違いや失敗を恐れるようになる。
無駄は悪いことであり、
最近では成果が見えないと、
仕分けされたりもする・・・。
税金を使って運営される事業と、
フェルデンクライスのレッスンを同並びで語ることはできないけど、
風潮としてますます世の中のスピードは増し、
時間は細切れになっている。
そんな世の中で生活をしている。
フェルデンクライスのレッスン時間は、
それとまるで違う時間を過ごす。
失敗しても誰も攻めないし、
逆に失敗を進められたりする。
がんばってやっているとほめられず、
逆に頑張るなと言われ、
最初はとまどったりする。
自分のいつものやり方が通じなかったりする。
どうやったらいいかわからなそうな動きを指示される。
やってみたら、どうにも楽じゃない。
じゃあ、どうしたらこれが楽になるのか、
どこが邪魔をしているのか、
自分の楽な範囲はどこまでなのか、
探り始める。
こうじゃない、これでもない、
あっ、ちょっといいかも・・・
などといろいろ試してみる。
何回かやっているうちに、
うまくできる瞬間があったりする。
レッスンの後半になると、
うまくできる回数が増えていったりする。
今まであんなにできなかったのに、
どうしてこんなに楽にできるようになったのか、
不思議な感じがすることもある。
レッスンによっては、最後までどうやっていいのか、
わからないこともある。
たまたまそんなレッスンを1年後にやってみたら、
すごく気持ちよくできることもある。
1年前に腰が痛くなったのは、
胸が全然使えていなかったからかと
思ったりする。
いい年になっても、まだ新しいこと、
自分の知らなかったことが学べるというのは、
これは自分にとってのチャンスだと思う。
最初から成功することを求められない、
赤ちゃんのように時間を過ごす場を与えられる。
そういう意味でも、
フェルデンクライスのレッスンは、
とても贅沢な時間だと思うのだ。
失敗したり間違ったりして贅沢に時間を使うレッスン
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