おすすめ本 「からだの一日」ジェニファー・アッカーマン著

「からだの一日-あなたの24時間を医学・科学で輪切りにする」
ジェニファー・アッカーマン著 早川書房発行
(“SEX SLEEP EAT DRINK DREAM: A Day in the Life of Your Body” by Jennifer Ackerman)

この本は24時間のあいだ、からだの中で起こっていることを、
概日リズムを中心にして、いろいろな切り口から書かれている。
サイエンスライターが最新(といっても数年前)の研究を基に、
わかりやすく興味深く綴っている。
体温が朝と夜とは違うという記述を読み、
朝と晩で体温を測ったら、確かに違っていた。
そうなんだぁ~ということも多く、
眼からウロコを落としつつ読み進んだ。
数日前、第12章「眠り」の292ページを読んでいた。
以下本文292ページより
「・・・・。ごく最近になって科学者はこの考えを完全に覆した。何時間寝るのが最適かについてはまだ議論の余地があるものの、私たちの大半は7~8時間の睡眠を必要としている証拠が多数集まりつつある。6時間未満の睡眠ではとにかく不足なのだ。・・・」
時計を見ると夜の12時を過ぎていた。まだ先が読みたかったけど、
もう寝ないと7時間寝られないと考えた私は、
本を閉じその日は布団に入った。
影響を受けやすい自分・・・。
以下の部分はフェルデンクライスメソッドのレッスン中にで起こることと、
とても関係がある記述だと思う。
自分のメモも兼ねて、
以下第3章「機知」62ページより抜粋。
「・・・・この説では、どのニューロン連合体が競争に勝つかは注意の有無によって決まるのだという。おそらく注意は、発火の制御によって特定のニューロン連合体を神経活動を活発化させ、その連合体が形成される元となった刺激をほかの刺激より大きくはっきりと感じさせるように働くのだろう。この考え方によれば、注意は私たちをある感覚経験に導くだけでなく、経験そのものを生み出すということにもなる。・・・」(※色は私がつけた)
以下第3章「機知」81~83ページより抜粋。
「・・・すなわち、学習はシナプス-ぴったり接続された二つの脳細胞の接合部-の強度の変化によって起きるのだ。短期記憶を形成するには、脳は既存のたんぱく質を変質させることで既存のシナプス接合を強化する。長期記憶を形成するには、脳は新たにたんぱく質を合成し新しいシナプス接合をつくり出す。
 この過程はアメフラシより人間のほうが断然複雑だろうが、メカニズムは同じようだとカンデルは述べる。かいつまんで説明すると、それはこんなふうになる。あるとき、あなたの脳が活動しはじめるとする。一個のニューロンが刺激を受けて発火し、この発火がトリガーとなって別のニューロンを発火させる。たいていの場合、こうした活動からは何も起こらない。一個のニューロンが隣接するニューロンに送る化学情報は弱すぎたり散発的すぎたりで、隣のニューロンを活性化させてネットワークを形成するにはいたらない。しかし学習時のように精神が集中していれば、一個のニューロンもより強い情報をより頻繁に隣のニューロンに送るようになる。すると隣のニューロンのシナプスが情報の授受によって化学的に変化する。最初のニューロンがふたたび発火すると、たとえその強度は弱くても感受性の高まった二番めのニューロンが素早く反応する。こうして二個のニューロンは興奮し、同じパターンでふたたび発火する用意が整う。
 この過程が起きても、それは心を束の間通り過ぎただけの一瞬の出来事であり、記憶は数秒もすればまた何もなかったかのと同じになってしまう。ところが、刺激が繰り返されて、ニューロンが同期して発火するようになると、両者のあいだのシナプスが強化される。やがてニューロン同士は接続され、どちらかが発火すれば、他方も発火するようになる。こうして「シナプスの可塑性」として知られる、ニューロン同士が接続される過程によって、学習と記憶が可能になっているらしい。
 カンデルによれば、この接続がいったんできると、信号はニューロン間の経路を伝わりやすくなり、同じ信号でも大きな反応を生じさせるようになる。ある行為が繰り返される-言葉や概念や技能を記憶する際に-と、ニューロンの接続とパターン化した発火が他のニューロンにも広がって、強固に接続されたニューロンネットワークが形成される。このネットワークは活性化するたびに同じパターンで同時に発火する。この過程により、ある出来事や考えに関連するニューロンが一つのグループを形成する。こうして「一緒に発火する細胞は配線でつながる」ということになる。ある技能が繰り返されたり、ネットワークが発火するたび、シナプスは伝承効率を上げ、学習されたことはより永久的に残るようになる。・・・・」
注意を向けてレッスンをやると、
上記のようなことが神経系で起こるのだろう。
注意を向ける、観察をする、意識的にやる、
ということをせずに、
機械的に繰り返し動くだけでは、
神経系への働きかけは弱く、
学習は進まない。

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